2018/10/9 21:30

私は階段から出られない。

56階建の、きっと校舎の端っこに取り付けられてるであろう縦長の階段。その日は雨みたいに薄暗いけどガラスから雨の日特有の鈍い光が入っている。長居すると冷えるくらいの、秋の頭らしい気温。私はその恐らく6階分くらいある階段を、行ったり来たりしている。でも一階まで下りることはなかったので、永遠に下に続いてるような、更に夢の中の私はそれを知っているらしかった。6階の、行き止まりになってる踊り場?には行ったので、やっぱり下がどこまであるのか不明だし、中学の部活の、雨の日の練習場所の階段だと思う。行ったり来たり、ぶらぶらしていると大学の知り合いに3人くらい?会った。初めは覚えてなくて、2人目はIちゃんで、3人目はSちゃんだった。Iちゃんとは体感3階くらいのところで、いつもみたいに30分くらいお互いの近況とか、久々に会えて嬉しい感情で話して別れた。Sちゃんは、ギター 猫 集まって来ていたらしい

あと、A?あ、違うや3人目はAで、天井の近い6階の辺りで会って、なんだか少し悲しそうに見えた。でも最近現実で会うと恥ずかしいような感じで最初顔を合わせるから、ちょっと照れのような嬉しいような、でもやっぱり少し悲しそうな顔をして私に気づいた。階段の途中に座り込んでいた。「さっきSちゃんがね、ここでギターを弾いていて、猫が周りに沢山集まってたの」って。私はわあ!と思って周りに猫が居ないかきょろきょろした。それでAの隣に座って、ケーキ屋のこととか、いつも話すようなことを話したよ。でも、雨の日だし、ちょっと寒くなって、お互いしんみりした空気で、横に座っていた。横に座ってるだけで有り難かった。近くには観葉植物が置いてあった。階段の各踊り場には絶対観葉植物があって、窓枠には小さな鉢、空間の隅には大きめの木と、植物が多目に配置してあった。雨の日の割に階段は明るくて、空間の色はクリーム色だった。そこに点々と緑が差す感じで。

 

私は何処へ行く用事も無く、ただ階段をぶらついてた。悲しい感情も無く、窓を眺めたりと言ってもその窓は曇りガラスだった。踊り場の大きな窓は曇りガラスだったけど、階段を上る途中に壁にある小さい窓は、普通に外が見えた。外の景色はまるで霧がかかってるみたいに何も見えなかった。この校舎と、この階段自体が切り離された空間みたいに感じた。ただ雨粒がガラスにぶつかり、雨が降っているんだなということだけがわかる状態だった。

窓を見ること自体が好きだから、閉塞感とか、虚しさは無かった。ただ子猫みたいに、そこを歩いて、歩いていた。